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2023年3月27日

仕組み・背景を知り、効果的に活用!
パーソナライズド動画とは?

ヘッダー画像_パーソナライズド動画とは?

パーソナライズド動画とは?

パーソナライズド動画とは、視聴者一人ひとりに合わせて最適化された動画コンテンツのことです。

近年Webマーケティングの領域では、One to One(ワントゥワン)マーケティングが目覚ましい進化を遂げています。例えばショッピングサイトでは、自分への「おすすめ商品」がタイムリーにラインナップされていますよね。ユーザーの属性、購入履歴、閲覧履歴などに基づいてカスタマイズされたコンテンツをパーソナライズドコンテンツと言います。その動画バージョンがパーソナライズド動画です。

でも「動画をカスタマイズ?そんなことできるの?」「コストは?」「効果は?」など疑問も尽きませんよね。ここではパーソナライズド動画について解説し、そんな疑問に答えていきます。

パーソナライズド動画の仕組み

パーソナライズド動画の仕組み

パーソナライズド動画は、ベース動画と可変レイヤーから構成されています。可変レイヤー用に何パターンか用意されているテキストや画像を、データベース上の顧客情報をもとに自動的に処理してベース動画と組み合わせることで、AさんにはAさん向けの、BさんにはBさん向けの情報を動画コンテンツ内に表示できます。さらにベース動画を選択可能にすれば、より細かなセグメンテーションに対応した動画生成が可能です。

パーソナライズド動画が注目される背景

インターネット上に配信した動画コンテンツで商品やサービスを知ってもらう「動画マーケティング」。中でもパーソナライズド動画がこれからの営業ツールとして注目されているのはどうしてなのでしょうか。

なぜ「パーソナライズ」?なぜ「動画」?

その背景にあるのは私たちの暮らしにほかなりません。

スマートフォンの普及

情報通信白書令和4年版(総務省)によると2021年のスマートフォン所有率は88.6%。またスマートフォンでインターネットを利用すると回答した人は68.5%と、PCの48.1%を上回る結果でした。

確かに普段の生活を思い返してみると、私たちはいつでもどこでもスマートフォンでインターネットを見ています。こうした行動様式はフィーチャーフォン(ガラケー)の時代にはまだありませんでした。

情報通信白書令和4年版(総務省)
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r04/html/nd238110.html

ソフトバンクニュース:身近で進む「デジタル化」、普及率はどれくらい?
https://www.softbank.jp/sbnews/entry/20220421_01

動画の一般化

2010年代、スマートフォンとともに急成長したのが、YouTubeやTikTokに代表される動画共有プラットフォームです。

Google傘下のYouTubeのアクティブユーザー数は25億6,200万人(2022年1月時点)。YouTubeを主戦場にタレント活動をするユーチューバーが注目され、大手メディアも公式チャンネルを持つようになり、テレビと同格のメディアに成長しました。今や「ニュースはYouTubeで見る」という人も珍しくありません。

10〜20代に支持されるTikTokは、2016年のリリース以来、音楽やダンスの流行発信源として注目されています。アクティブユーザー数は世界で10億、日本で1,000万人規模と推定されています。

We Are Social; Hootsuite; DataReportal(Statista)
https://www.statista.com/statistics/272014/global-social-networks-ranked-by-number-of-users/

世界のソーシャルネットワークのユーザー数ランキング 2023年

5G通信の普及と、情報量の増加

スマートフォンで動画を再生しようとしたら「読み込みが遅い」「途切れ途切れ」「止まる」といった経験をしたことはないでしょうか。原因としてよく挙げられるのが回線速度です。現在4Gからの移行が進む高速・大容量の通信規格「5G」ではこうしたストレスが解消されるのはもちろん、より高精細な映像をスマートフォンで楽しむことができます。5G環境整備が進む今、パーソナライズド動画をはじめとする動画コンテンツはより強力な営業ツールになると期待されています。

パーソナライズドコンテンツの普及

マスではなく個にアプローチする「パーソナライズ」の重要性は、マーケティングの分野ではインターネットが現在のように普及する以前から言われてきました。それがOne to Oneマーケティングとして確立された背景には、インターネットだけでなくビッグデータやAIの進化があります。

アドビ社の調査によると、日本の消費者の約6割が「パーソナライズされたエクスペリエンスを期待」と回答。さらに同社は「コンピューターによる自動化を好む傾向」があると日本人を分析。日本人のITへの信頼の高さが、パーソナライズドコンテンツに対する受容度や期待につながっているようです。

消費者のデジタル体験に関する調査(アドビ システムズ株式会社)
https://www.adobe.com/jp/news-room/news/201907/20190705-consumer-experience-expectations-survey-2019.html

約6割がデジタル上でもパーソナライズされたエクスペリエンスを期待

新型コロナウイルス感染症の拡大

私たちの暮らしを激変させたCOVID-19。企業は、営業が得意先や顧客を訪問できなくなり、非対面コミュニケーションによる営業スタイルへの素早いシフトが求められました。

アクセンチュアの調査では、「銀行や保険会社と取引する際に最も重要視する要素は何か?」という質問に対して、2018年には2位だった「礼儀正しく知識豊富なスタッフ」が2020年には7位に順位を落としました。同社シニア・マネジャー平石幸資氏は、「顧客の接点の持ち方」が変化したことで「顧客個人の情報に基づいてそれぞれの顧客に合った商品・サービスを提供する必要性が生じている」と指摘しています。

FSアーキテクトVol.63 2021年秋号
https://www.accenture.com/jp-ja/insights/financial-services/fs-architect62-3

銀行や保険会社と取引する際に最も重要視する要素は何か

情報取得の効率化

自分の意志で自由に使える時間を「可処分時間」と言います。シチズングループが2019年に行った調査では、AIや5Gの発達により20~30年後には可処分時間が現在の1.3倍になっていると未来を予想。もう少し平たく言うと、「自分に有益な情報が手っ取り早く手に入れば、ロスなく仕事ができたり、パパッと満足のいく買物ができるはず」と人々は未来に期待しているようです。

「令和に見直したい生活時間」調査(シチズングループ)
https://www.citizen.co.jp/research/time/20190527/06.html

パーソナライズド動画の効果

パーソナライズド動画は、営業・マーケティングツールとしてはもちろん、採用やブランディングなどさまざまシーンで活用されています。どのような効果が期待できるのか、課題解決の観点から見ていきましょう。

カスタマーサービスの運用コスト削減

顧客の商品・サービスへの理解がパーソナライズド動画によって深まると、結果として「お客さま相談口」「お問い合わせ窓口」の顧客対応業務の効率化につながります。顧客からの問い合わせやクレームの要因は、営業や店舗スタッフの説明の「ばらつき」にあることも少なくありません。また商品に対する理解度を均質化できるのもパーソナライズド動画の利点の一つ。カスタマーサービスの負荷を軽減し、担当する人員や稼働時間を抑えるためにも有効です。

コスト削減のイメージ

営業・マーケティング支援

パーソナライズド動画は、性別や年齢層などの基本属性はもちろん、「その人の興味関心」に直結する属性を切り口に顧客にアプローチできます。例えば以下のような顧客データを活用して、「企業側の売りたい」と「顧客側の買いたい」のマッチングの確度を高めることができます。

  • 現在の契約状況
  • 購買履歴
  • 顧客ロイヤリティの高さ
    など

コミュニケーションの強化・効率化

パーソナライズド動画は、顧客の興味関心の「度合い」に合わせて動画ストーリーを出し分けることができます。顧客が購入を決めるのに必要な情報は、その商品・サービスに対する関心の高さによって異なります。関心は高かったのに、スタッフの対応に満足できず購入見送り。リアルではこのようなケースがよくあります。パーソナライズド動画なら、その人が「必要としている情報」を「より広い対象者」に届けることができます。

ファンの獲得

顧客に「関係のない情報を送ってきた」と思わせてしまうと、その製品・サービスに対する関心だけでなく、顧客ロイヤルティまで薄れていきます。かと言って「このお客さまのツボはここだろう」というスタッフの知識・経験・勘が頼りのアプローチはリソースがいくらあっても足りません。

パーソナライズド動画は、複数の属性を組み合わせることで、より「個」に近い顧客セグメントに対して、視聴者が「自分事化」しやすい動画を配信します。データドリブンなアプローチによって顧客体験(CX)を最適化し、機会損失を減らすと同時に、顧客エンゲージメントを強化することができます。

動画制作コスト削減

パーソナライズド動画は、ターゲティング設定の自由度とコストパフォーマンスを両立した動画コンテンツです。60秒の動画の途中10秒だけを差し替えた3パターンの動画を配信する想定で、用意するアセット(動画素材)を比較してみましょう。

従来の動画マーケティング

60秒×3パターン=180秒

パーソナライズド動画

ベース動画:60秒×1パターン=60秒

可変レイヤー:10秒×3パターン=30秒

従来の方法でパーソナライズド動画と同じことを実施した場合、倍の労力がかかる計算です。パターン数が多いほどこの差は開いていきます。同じ予算でよりきめ細かなターゲティングが可能と考えることもできます。

パーソナライズド動画のつくりかた

与件整理

顧客の商品・サービスへの理解がパーソナライズド動画によって深まると、結果として「お客さま相談口」「お問い合わせ窓口」の顧客対応業務の効率化につながります。顧客からの問い合わせやクレームの要因は、営業や店舗スタ

そもそも何のためのパーソナライズド動画なのか、プロジェクトの前提にある課題や目的を確認して関係者内で意思統一を図ります。

・背景や課題
現状の問題点、顧客ニーズ、ペインポイント(解決したい悩み)など

・コンセプト
商品・サービスに込められた思い、ブランド・企業が掲げる理念やビジョンなど、動画に通底する世界観

・ターゲット
どのような属性を持つ顧客が視聴するのか?

・ゴール(目標)
どのような行動変容を促したいのか?

要件定義(システム開発計画)

パーソナライズド動画は、以下のようなモジュール*を結合させた統合システムとして構築されるマーケティングオートメーションツール(MAツール)**です。

  • 顧客データベース
  • 動画の自動生成
  • 動画視聴URLの発行
  • 動画視聴URLのメール配信
  • 視聴データの取得

ユーザー企業の要望に合わせた仕様変更や機能の追加開発が可能なので、プロジェクト始動時には「どんな運用を目指すのか」「そのためにはどんな機能が必要か」をヒアリングし、要件定義を行なった上でプロジェクトに必要な仕様・機能の開発を進めていきます(配信サービスによって対応は異なります)。

パーソナライズする箇所・項目、ストーリーの分岐パターンの検証もこの段階で行います。

*モジュール
システムの一部を構成するひとまとまりの機能を持ったプログラム群。

**マーケティングオートメーションツール(MAツール)
マーケティング業務を自動化・効率化するためのプラットフォームやソフトウェア。

コンテンツ企画

クリエイティブの方向性を決める

企画初期段階ではまずプロット(ストーリーの大筋)を決めていきます。この時、ユーザー企業と制作チームとの間で、軸となるストーリーとともにトンマナ*も確認します。与件を踏まえればトンマナは自明な場合もありますが、映像表現を大きく左右する要素なので、ここで齟齬があると制作に入ってからトラブルになりかねません。

*トンマナ
作品世界の基調となる色調やテイストを意味する広告用語。トーン&マナーの略。

ストーリーを決める

プロットに基づいて絵コンテを作成し、カット割り(どんなシーンをどこに割り当てるか)を詰め、動画全体の構成を固めていきます。

絵コンテは単にストーリーを組み立てるだけではなく、「どんなタイミングでどんな制作業務が必要か」「コストや納期に見合うか」といった見込みを立てながら作成します。ユーザー企業側から「絵コンテを自社で作りたい」という声がしばしば聞かれますが、パーソナライズド動画には一般的な動画とは異なる制作ノウハウが必要とされるので、要望を事前に伝え、プロから提案を受けたほうが制作はスムーズに進むでしょう。上がってきた絵コンテを見て、意図が伝わっていない箇所がもしあればここでしっかり擦り合わせを行います。

コンバージョン定義

視聴者のどんなアクションをもってコンバージョン*とするか、またCTAボタン**のデザインや文言についてもある程度イメージを固めます。パーソナライズ動画では動画最後にCTAボタンを表示し、そのクリック数をコンバージョン数とするのが一般的です。

*コンバージョン
Webサイト上のカスタマージャーニーのゴールとして設定されるアクション。
・商品購入
・会員登録
・資料請求
・タップコール(電話の発信)
などが代表的。

**CTAボタン
アクション喚起(Call To Action)のためのボタン。サイト訪問者に対してクリックを促してコンバージョンを達成させるためのボタン。コンバージョンボタン(CVボタン)と同義。

動画制作

要件定義とコンテンツ企画に基づいて、想定したストーリー分岐に必要なベース動画(動画テンプレート)、またそのベース動画に落とし込む可変レイヤーを制作していきます。

システム開発

要件定義に基づいて専用システムの設計・開発・構築を進めていきます。

パーソナライズ要素を加え、動画を生成・配信

完成したベース動画と可変レイヤーを専用システムにアップロードすると、顧客情報に紐づいた動画及び動画視聴URLが自動生成されます。配信サービスにもよりますが、動画生成から配信までのスキームは以下のようにいくつかパターンがあるので、どんな方法を採用するかは要件定義の段階で確定しておきます。

「個別」に動画を発行

フォームに入力された情報(=パーソナライズ要素)に基づき動画を自動生成。即時発行された動画視聴URLが再生ウィンドウに自動的に読み込まれ、閲覧しているWebページ上でパーソナライズ動画を視聴することができます。

事例 OneDouga
https://onedouga.jp/

リストで「まとめて」発行

動画生成用フォーマットに既存の顧客データを落とし込んだリストを作成し、リストに基づいて動画を自動生成。同時に動画視聴URLをメールで自動配信するスキームです。ただし企業が保有する顧客データは状態もいろいろなのでリスト化が難しい場合もあります。

「外部サービスと連携」して発行

API*連携により動画視聴URLを外部サービス上にアウトプットして配信するスキーム。デジタルアンケートやデジタルギフトなどでパーソナライズド動画を活用するケースを想定しています。

*API(Application Programming Interface)
ソフトウェア同士を連携させたり、Webサービスに自社システムを連携させることで、片方が持つ機能や情報をもう一方で利用したり相互利用するインターフェース。

パーソナライズド動画の活用シーン

パーソナライズド動画は、実際にどのように活用されているのでしょうか。「あなた専用の動画」を利用した実例を目的別にご紹介します。

契約更新/アップセル

契約更新のタイミングに合わせたアップセル促進施策として、保険業界(自動車保険・火災保険・損害保険・生命保険など)で多数の導入実績があります。

以下に紹介する3事例では、

  • 契約内容の確認
  • 最適なプラン
  • 付帯保険の紹介

などを動画内で案内し、保険内容の見直しやアップグレードを促しています。

事例 セゾン自動車火災保険株式会社

自動車保険の契約更新のタイミングに合わせてパーソナライズド動画をメール配信。

  • 契約満了日
  • 同じ契約内容による更新費用
  • 未加入の特約
    など

事例 東京海上日動

「One to One」の顧客対応をアピールするCRM施策として、火災保険加入者に向けて、激甚化・頻発化している豪雨災害に対する「『備え』に関する情報」をパーソナライズド動画で配信。

  • 台風・集中豪雨時の防災情報
  • 個々のお客さまごとのご契約内容
  • 被災時の連絡先・連絡要領
  • ご契約に関するお問い合わせ先

※当社以外の事例です。

参考:東京海上日動ニュースリリース https://www.atpress.ne.jp/news/113121

事例 マニュライフ生命保険

書類では見過ごされがちな説明により関心を持ってもらうことを目的にパーソナライズド動画を導入。年に一度配信する「契約内容のお知らせ」メール内に動画視聴ページのQRコードとURLを記載。

  • 現在のご契約状況
  • 個客の年齢に応じたトピック
  • お客さま専用Webサイト「マイページ」のご案内

※当社以外の事例です。

参考:ManulifeJapan 公式YouTube https://www.youtube.com/watch?v=vHy7HvnaFZU

商品理解促進

パーソナライズド動画は、カスタマーサクセスを提供するツールとしても有効です。顧客体験(CX)向上の一環として海外で始まったカスタマーサクセスは、文字通り「顧客の成功」を企業側から積極的に支援する取り組みを言います。購入した製品・サービスの特徴や魅力を伝え、顧客が「製品やサービスを使いこなしている」という実感を得ることで、リピート購入、関連商品の購入、契約延長などを促進します。

事例 Kyoiku (Indigital Technologies)

医薬品の説明をパーソナライズド動画に代替させている海外での事例です。

※当社以外の事例です。

参考:Healthcare Exective
https://www.healthcareexecutive.in/blog/prescription-platform-kyoiku?fbclid=IwAR0OruTozZq1dRFWmh9Il-B1WM9zZCuzeWb4t7n9h9qNvD6JtCYuomTcYwQ

個別提案/診断

診断に必要な情報を入力してフォーム送信するとパーソナライズド動画視聴ページに遷移。タイミングを逃すことなく、最適な診断結果とそれに見合った提案を提示します。

事例 ノーリツ

家族構成や居住エリアなどの簡単なお客さま情報や使用中の設備を入力すると、ハイブリッド給湯システム導入のメリットを伝えるパーソナライズド動画が再生されます。

事例 明治安田アセットマネジメント

資産形成支援サイト「ロボアド&シミュレーション」では、投資初心者向に向けて、資産状況・投資目的・リスク許容度などから判断したパーソナライズド動画をWebサイト上で提供。パーソナライズド項目の組み合わせによって生成される動画は約3,600パターン。

見込み客育成(リードナーチャリング)

獲得した見込み客(リード)が見込み客のままで終わるか、実際に製品・サービスを利用する顧客になるかは見込み客育成(リードナーチャリング)に左右されます。製品・サービスへの理解を深めたり、自社やブランドへのロイヤルティを育むためにパーソナライズド動画を活用した事例を紹介します。

事例 中央大学

資料請求した高校生・保護者に向けて、登場人物を自分自身に置き換えて大学生活を疑似体験できるパーソナライズド動画を配信。「興味関心がある学部」をパーソナライズド項目にすることにより、「あなた」が送るであろうキャンパスライフをビビッドに描き出しました。

中央大学のパーソナライズド動画

事例 Cars.com

パーソナライズド動画を、最近Webサイトを訪問した見込み客に対するリターゲティング広告として活用。30秒の動画に、閲覧履歴をもとにしたおすすめ製品や価格訴求など、Webサイト再訪や実店舗来店の目的(きっかけ)となる情報がコンパクトに盛り込まれています。

※当社以外の事例です。

参考: https://www.youtube.com/watch?v=Sg4wjpdiy68

非対面接客/営業支援

感染症対策として急速に浸透した非対面接客・営業。株式会社MS&Consultingがネットリサーチを用いて行なった調査によると、特に投資や保険のような「形のない商品」の場合、オンラインでも実店舗と同等のサービスが受けられると消費者は捉えています。

  • 家にいながら、都合の良いタイミングで受けられる
  • 難解な説明をいつでも何回でも確認できる

といったメリットが評価されており、コロナ禍収束後も定着する可能性が高そうです。

株式会社MS&Consulting:オンライン接客に関する消費者意識調査
https://www.msandc.co.jp/info/onlineMS20210422

事例 イーデザイン損保

「説明が複雑で口頭ではわかりにくい」「落ち着いた時間にやりとりしたい」「家族とも相談して決めたい」といった声に応えて、事故にあって保険金の請求を検討中の顧客に向けたパーソナライズド動画を提供。言葉では伝わりにくい難解な部分は、図やアニメーションを用いて解説。何度でも繰り返し視聴でき、事故の専任担当者に対する回答を動画内から送ることができます。

※当社以外の事例です。

参考:イーデザイン損保ニュースリリース https://www.edsp.co.jp/company/company_010/2020/2021_02_26.html

事例 USAA

アメリカ軍の軍人・軍属向け金融・保険サービスを扱うUSAAが提供しているパーソナライズド動画。契約中の保険でどのような補償が受けられるか説明し、保険金をスムーズに受け取れるオプションサービスの利用を勧めています。

※当社以外の事例です。

参考:Idomoo 公式YouTube https://www.youtube.com/watch?v=nVq2s7mDtvE

パーソナライズド動画のメリット

営業支援・マーケティング実務の担当者にとってどのようなメリットがあるかも見ていきましょう。

個人ごとに内容を出し分けできる

パーソナライズド動画は、膨大なリソース(コスト・時間・人)を必要としていた「あなた専用動画」のハードルをぐっと下げました。パーソナライズ項目を的確に設定するだけで、費用対効果に優れた「あなた専用動画」を配信できます。

無駄な情報をそぎ落とせる

視聴者が必要とする情報と不要な情報が混在していた従来の動画コンテンツでは、視聴中の離脱がコンバージョンの阻害要因になっていました。パーソナライズド動画では、パーソナライズ項目によって絞り込んだセグメントに情報を最適化して配信します。視聴者は自分に関係のない無駄な情報を見る必要がありません。

説明が均質化できる

1対1の対面接客で顧客が購入を決めるかどうかは、対応するスタッフの知識経験、顧客とスタッフの相性、またその時々の状況にも左右されます。パーソナライズド動画はそのようなバイアスの入らない均質な情報を視聴者に届けることができます。

興味関心を測定できる

  • 動画をどこまで視聴したか(どこで離脱したか)
  • リンクをクリックしたか

といった視聴状況のデータを個人レベルあるいはセグメントレベルで測定し、営業・マーケティング活動やクリエイティブ・運用面の改善に役立てることができます。

視聴率

何パーセントの人が視聴したか?

実際に視聴したユーザー数 ÷ 配信対象者数 × 100(%)

視聴維持率

視聴者が動画をどのくらい継続して見続けたか?

平均視聴時間 ÷ 動画全体の尺 × 100(%)

コンバージョン率

動画を視聴した人の何パーセントがコンバージョンに至ったか?

コンバージョン数 ÷ 動画再生回数 ×100(%)

または

コンバージョン数 ÷ 視聴したユーザー数 ×100(%)

インタラクションを可視化できる

  • 視聴率(視聴者数÷配信数)
  • 動画内のどのボタンを押したか

といった行動履歴を数値やフラグによって可視化できます。未視聴者をリスト化してリマインドメールを送信するなど、視聴見逃しによる取りこぼし対策に活用することができます。

パーソナライズド動画の運用にあたって

目的・ターゲットに合わせた手法の選択

パーソナライズド動画で有意な成果を上げるには、目的に合致したターゲティングやクリエイティブが必要です。動画配信の目的(どのような行動変容を促すための、誰に対する動画なのか)を明確にし、配信事業者と共有して、本来の目的からブレてしまうことのないようにマネジメントしましょう。

配信チャネルの設計・選定

カスタマージャーニーを途切れさせないことを念頭に、以下のような要件を確認した上で、配信対象者が動画視聴ページに確実にアクセスできる導線設計をしましょう。

Webサイトの場合

誰でも閲覧できるオープンスペース
     or
会員専用ページなどクローズドスペース

ダイレクトメールの場合

Eメールやショートメールなどのデジタル配信(動画視聴ページのURLを記載)
      or
印刷媒体を配布・送付(QR読み取りで動画視聴ページを表示)

主な視聴デバイス

スマ-トフォン
 or
パソコン・タブレット端末

データベースの整理

動画配信を司るデータベースが有効に働くかどうかは、元になる顧客データの左右されます。特にバラバラに管理されていた複数の顧客データを統合するような場合は、データベースに格納することを前提とした整理が必要です。

個人情報の取扱い

パーソナライズド動画の配信に用いるデータベースやその元となる顧客データは「個人情報の塊」です。配信サービスの委託先には、個人情報取扱基準の厳格な企業を選定しましょう。NDA(秘密保持契約)締結も必須です。

チェックポイント

  • Pマーク(プライバシーマーク)取得企業かどうか
  • 「情報セキュリティ方針」「個人情報保護方針」などのコンプライアンスポリシーを公表しているか
  • 個人情報の取り扱いに慣れているか

ただしPマーク取得企業でも経験値はさまざまです。運用経験が乏しい場合もありますが、それを見極めるのは簡単ではありません。企業の規模や取引実績なども判断材料にしましょう。

制作・配信体制の構築

欧米で注目されたパーソナライズド動画が日本で広まったのは2010年代後半。その市場規模はコロナ禍を背景に拡大していますが、まだまだ目新しいマーケティング手法です。そのため「何を判断基準に配信委託先を決めるか」が最初のハードルになるかもしれません。

分岐パターンのシミュレーションをはじめとして、パーソナライズド動画の制作には一般的な映像作品やアニメーションとは異なるノウハウが用いられます。プロジェクトを統括するにはそうした特有のプロセスやスキルに精通している必要があります。制作実績が豊富な配信サービスほど各現場に対するディレクションが的確で、顧客対応力も高く、確実な成果につながりやすい傾向があるので、企画・制作・開発・運用まで一貫したサービスを提供している配信サービスを選ぶと安心です。

まとめ

パーソナライズド動画は、「自分だけのため」に用意された顧客体験(CX)を求めている現代の消費者の心をつかむ営業・マーケティング手法です。人対人の接触がままならないコロナ禍、金融・保険分野を中心に対面営業・接客の代替手段として浸透し、今ではさまざまなビジネスシーンで活用されています。Webマーケティングで勝者になるには、トライ&エラーの繰り返しが不可欠。パーソナライズド動画もまた然り。ライバル企業より1歩でも半歩でも早くその成果を手中に収め、将来の大きな差につなげていきましょう。